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別表五(二) 租税公課の納付状況等に関する明細書の作成 実務編(税理士試験第60回対策をかねて)① [法人税法試験]

第58回 法人税法税理士試験の第二問のコメントです。このコメントは、租税公課のためのコメントだと実感しています(第59回を見ても明らかです。)。中小企業会計指針の租税公課のレベル国税庁発表の記載要項ともども是非チェックしてみてください。

租税公課は、絶対処理する項目という意識をとても強く感じています。
〔第二問〕
〔基本方針について〕
与えられた数値に基づいて計算問題を解く技術だけでなく、提示された資料から事実を読み取り、その検証をして合理的な決算を確定するとともに、法人税法等の規定に事実関係を当てはめて正しい申告調整を行う能力を有するかどうかを試す問題とする。したがって、単に知識があるかどうかではなく、確定決算のベースとなる企業会計への正確な理解と法人税法等の的確な解釈など、専門家として備えておくべき法的な素養が試される。

与えられた数値に基づいて計算問題を解く技術→学校教育はここが中心です。ここをしっかり固めていくのは当然ですが・・・
提示された資料から事実を読み取る→状況読み取り能力駆使する必要があります。
検証をして→自然に検証をかける重要性認識してください。
合理的な決算を確定する→会計能力も税理士としての必要条件です。

法人税法等の規定に事実関係を当てはめて正しい申告調整を行う能力を有する→問題と捉えていると、なかなか実践しにくいですが、
生きた取引のイメージをしっかり持つよう心がけてください。

9 租税公課
租税公課の内訳は次表のとおりである。
(単位 :円)
58租税公課.JPG


上記資料を見て、別表5(2)と読み取ることと、「納付の経理方法」が③欄⑤欄の際を読み取ってください。
中間処理を③欄を使用する手法は、P/L末尾の法人税、住民税及び事業税と別表5(2)の32欄「損金の額に算入した納税充当金」と一致させる処理です。
期末納税充当金は、B/Sの未払法人税等 59,183,000円を当然確認する必要があります。

何はともあれ適正な決算を固めるために会計知識の補足から

★中小企業会計指針
58.法人税、住民税及び事業税
当期の利益に関連する金額を課税標準として課される法人税、住民税及び事業税は、発生基準により当期で負担すべき金額に相当する金額を損益計算書において、「税引前当期純利益(損失)」の次に「法人税、住民税及び事業税」として計上する。また、事業年度の末日時点における未納付の税額は、その金額に相当する額を「未払法人税等」として貸借対照表の流動負債に計上し、還付を受けるべき税額は、その金額に相当する額を「未収還付法人税等」として貸借対照表の流動資産に計上する。なお、更正、決定等により追徴税額及び還付税額が生じた場合で、その金額に重要性がある場合には、「法人税、住民税及び事業税」の次に、その内容を示す適当な名称で計上しなければならない。

→なお書き以下を踏まえてください。

○P/L末尾に計上されている「過年度修正申告法人税等 27,250,000円」との検証をかけ、そのコメントがかけるか。
 当たり前のことかもしれませんが、18,500,000円+3,200,000円+5,550,000円=27,250,000円を計算し、
 「一致確認」とコメントを書く。
 これこそが、「事実を読み取り、その検証をして合理的な決算を確定する」実務ステップです。
 次に検討事項です。

○過年度修正申告法人税等に、加算税、延滞税を追加してください。
仕訳
(借)(過年度修正申告法人税等) 4,086,000 / (貸)(租税公課) 4,086,000
 「合理的な決算」であれば上記仕訳は必要です。


○地方税の延滞金等が計上されていない→賦課決定がされていないと読み取ってもかまわないでしょうね。
 これも「事実を読み取り、その検証をする」ということになるはずです。「補足」ということばが指示であがっています。
ある程度前提条件を抜いて問題を作成しています。
「課決定がされていないという前提で地方税の加算金・延滞金は未考慮します。」というコメントが必要かもしれません。
→実務で、国税のみの加算税・延滞税しか計上されていない場合、申告書チェック段階で何も感じないのはリスクありです。

○参考までに、この科目が会計的に生まれた理由は、移転価格税制での税額の予見可能性の開示からです。


59.源泉所得税等の会計処理
受取配当や利子に関する源泉所得税のうち、法人税法及び地方税法上の税額控除の適用を受ける金額については、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」に含めて計上する。
  
P/L末尾に刑誦されている「法人税、住民税及び事業税の179,808,000円」との検証をかけ、そのコメントがかけるか。
当たり前のことかもしれませんが、75,960,000円+8,205,000円+36,460,000円+59,183,000円(B/S)=179,808,000円を計算し、
 「一致確認」とコメントを書く。
これこそが、「事実を読み取り、その検証をして合理的な決算を確定する」実務ステップです。

次に検討事項です。
中小企業会計指針 59 源泉所得税等の会計処理の処理をしなければ、合理的な決算にならないということです。
→法人税、住民税及び事業税に源泉を追加させてください。
   
仕訳
(借)(法人税、住民税及び事業税) 202,800/ (貸)(租税公課) 202,800
   
さらに、中間申告を別表5(2)③欄を使っているということは、
P/L末尾の
法人税、住民税及び事業税と別表5(2)の32欄「損金の額に算入した納税充当金」と一致させる処理です。
(外形標準課税が出てくる場合あまり好ましい処理ではないかもしれませんが・・・)
  →源泉所得税と源泉税住民税利子割り額が③:①になっていません。(実際は要確認事項です。) 今回は、
   ※「要確認事項ではあるが、源泉税の区分を③:①になるように修正して解答を作成」とコメントつけて解答を作成しております。
   実際、利子割額比率が多いと、道府県税事務所から問い合わせがきます。

60.消費税等の会計処理
消費税等(地方消費税を含む。)については、原則として税抜方式を適用し、事業年度の末日における未払消費税等(未収消費税等)は、未払金(未収入金)に計上する。ただし、その金額の重要性が高い場合には、未払消費税等(未収消費税等)として別に表示する。

・別表5(2)の租税公課の内訳に消費税が計上されていない。
・仕入部分は、輸入取引(食料品輸入販売業)。売上は、国内取引
・B/Sに、7,400,000円の未払消費税等の計上されている。→7,400,000円は、重要性が高い(売上額から考慮し予定納税11回の法人。11回目の予定及び期末納税額が計上されていると判断)(上記加算金・延滞金も4,086,000円あれば重要性高いという基準にもなるかもしれません。)
よって税抜経理を採用していると判断。

上記コメントは、なかなかかけないかもしれませんが、「補足」及び「事実を読み取り、その検証をして合理的な決算を確定する」の観点からは必要なコメントです。

→別表5(2)のその他の租税公課に消費税が計上されていない場合(消費税は金額が大きな税金です。)税抜経理と読み取れるようにしてください。

58回計算4-1.JPG

58回計算4-2.JPG

58回計算5-2.JPG

国税庁HP 別表四 「所得の金額の計算に関する明細書」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tebiki2009/pdf/06.pdf

税理士 小池康夫
http://www.kyoffice.com
ロジシーケンス株式会社
http://logisequence.com
有限会社プレシャス・ワン
http://p1net.com

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