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■法人税法第63回第一問解明のために⑥ [税理士試験と実務の接点]

■法人税法第63回第一問解明のために⑥

 

弁済額はいくらになりますか?

普通に考えてください。時価変動する有価証券を担保として提供するときに、12,000,000円の価値がありました。

お金にするなら、12,000,000円になるわけです。もし、保証債務の履行として処分された場合に、契約する際に、弁償額をいくらに設定しますか?

同じ、有価証券を返してくださいということもなくはないでしょうが、契約を結ぶ際の時価の12,000,000円を弁償してもらうと考えるのが普通の感覚のはずです。

 

同時両建説の仕訳

未収入金         12,000,000         差入有価証券         10,000,000

                        損害賠償金収入    2,000,000       

参考

異時両建説の仕訳

未収入金         7,300,000          差入有価証券         10,000,000

有価証券譲渡損  2,700,000                       

 

① 甲社が丙社に対して求償分を現金で支払った場合

 

【同時両建説で処理しているか異時両建説で処理しているか】

【身内なのか身内でないのか】

同時両建説であるならすでに収益計上をしているので、現金を受取った場合に課税所得に影響することありません。異時両建説であるなら現金で受取った際に収益を計上していく必要があります。

 

●他法律参考 

 

【保証債務を履行するために土地建物などを売ったとき】

1 特例のあらまし

保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例があります。

保証債務の履行とは、本来の債務者が債務を弁済しないときに保証人などが肩代りをして、その債務を弁済することをいいます。

保証債務の履行に当てはまる主なものは次の四つです。

⑴ 保証人、連帯保証人として債務を弁済した場合

⑵ 連帯債務者として他の連帯債務者の債務を弁済した場合

⑶ 身元保証人として債務を弁済した場合

⑷ 他人の債務を担保するために、抵当権などを設定した人がその債務を弁済したり、抵当権などを実行された場合


2 特例の要件

この特例を受けるには、次の三つの要件すべてに当てはまることが必要です。

⑴ 本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと

⑵ 保証債務を履行するために土地建物などを売っていること

⑶ 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと

この回収できなくなったこととは、本来の債務者が資力を失っているなど、債務の弁済能力がないため、将来的にも回収できない場合をいいます。

例えば、本来の債務者が破産をしていたり、失そうをしているなどの場合がこれに当たります。

したがって、本来の債務者に弁済能力があるのに、債権の回収をしないときは、この特例は受けられません。

 

所得税法

(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)

64条  

その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。

2 保証債務を履行するため資産(第33条第2項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第1項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。

 

② 甲社が丙社に対しその工場建物及びその敷地を提供した場合

 

【客観的な処理で時価を測定するのか取引上の合意が時価になるのか】

【身内なのか身内でないのか】

実際問題は、敷地には担保がついているでしょう。

他の者ではない第三者でないなら客観的な時価をだしその差額の清算金をス支払わなければ、寄附金、受贈益の課税関係が発生します。身内だからこそ(グループだからこそ)現金化せずに資産を受け入れることが、可能なのかもしれません。

はじめの契約の段階で、保証債務を履行した際に工場建物及び敷地を弁済するということになっていれば、第三者取引である以上そこには時価が成立することになります。

 

●他法律参考 

 

【課税標準】


課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額、すなわち、資産の譲渡、資産の貸付けや役務の提供について受け取る金額又は受け取るべき金額です。

この金額は、金銭で受け取るものに限られず、金銭以外の物や権利その他経済的利益の額など、対価として受け取るすべてのものが含まれます。

なお、この課税標準となる対価の額には、消費税相当額及び地方消費税相当額は含まれません。

このように、課税資産の譲渡等の課税標準は、当事者間で授受することとした対価の額となりますが、次の場合には、次の金額が課税標準になります。

⑴ 法人が自社商品などをその役員に贈与したり、著しく低い価額で譲渡した場合・・・・その自社商品の時価

⑵ 個人事業者が、自分が販売する商品などを家庭で使用したり消費した場合・・・・その商品などの時価

⑶ 代物弁済をした場合・・・・代物弁済により消滅する債務の額

⑷ 資産を交換した場合・・・・交換により取得する物品の時価(交換差金を受け取る場合はその金額を加算した金額

とし、交換差金を支払う場合はその金額を控除した金額となります。)

 

消費税法施行令

(課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準の額)

45条  

法第28条第1項 に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。

2 次の各号に掲げる行為に該当するものの対価の額は、当該各号に定める金額とする。

一  代物弁済による資産の譲渡 当該代物弁済により消滅する債務の額(当該代物弁済により譲渡される資産の価

 額が当該債務の額を超える額に相当する金額につき支払を受ける場合は、当該支払を受ける金額を加算した金

 額)に相当する金額

 

 

③ 丙社が甲社に対して書面をもって、求償分を支払わなくとも良い旨の通知を行った場合

 

【合理的な再建計画・整理計画があるのかないのか、相手に弁済能力がないのかあるのか】

 

【身内なのか身内でないのか】

企業が寄附をする際、通常指定寄附金や特定公益増進法人等に対する寄附金に該当するものに寄附することが多くまた、企業の体力を見て寄附というもの行っていくわけです。

寄附金課税を行うことは非常にまれなのです。

基本は身内の取引は適正な時価を算出して行うということが大前提なのです。

身内の取引であっても、合理的な再建計画や整理計画がありより大きな損害を回避するために社会通念上相当であるなら、寄附金課税が行われない場合もあります。安易に適用はできませんが、状況を見極める必要はあります。

第三者であっても寄附金課税が行われる場合があります。それは、債権放棄です。債権放棄は安易にはしてはいけないということを、もっといえば、不良債権を出さない処理をしっかり指導していくことが私たちの大切な業務のひとつなのです。

金銭債権を貸倒処理する際には、債務超過の状態が相当期間継続を立証し、その金銭債権の弁済を受けることができないことをも立証し、書面により債務免除額を明らかにしていく必要があります。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/report3/faq5280-27.pdf

 

http://ameblo.jp/ginss2/entry-11663112846.html

 


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受験生

こんちには。質問させていただきます。
試験を受けましたが、下記のとおり仕訳しました。同時両建説により仕訳しましたが、簿価を求償権と認識しました。いかがでしょうか?
求償権10,000,000   求償権収入 10,000,000
補償損10,000,000   差入有価証券10,000,000
結論として、当期は益金と損金が相殺それ課税所得は生じないとコメントしました。

専門学校の解答は、有価証券の売却による処分損を認識していますが、上記のとおりの解答が認められるか、お時間があれば教えていただけますようお願い申し上げます。
by 受験生 (2013-11-10 09:15) 

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