SSブログ

第58回 税理士試験 法人税法 理論 解説14 [PISA型読解力]

14.脱税・租税回避行為・節税
では、まず脱税の説明から・・・・

○脱税
「偽りその他不正な行為」により納税を免れる犯罪である。かつては、脱税は行政犯罪、あるいは経済犯罪と見られていたが、今日では通常の刑事犯と同様に取扱われている。
計算誤りにより所得が過少となっていた場合や、税法の解釈の誤り、解釈の相違による過少申告は、通常脱税の範疇に含まれないものとされ、意図的な所得隠しには当たらない申告漏れとして取り扱われている。しかし、税務調査の結果所得隠しを目的とした仮装・隠蔽の事実が認められた場合は、通常の過少申告加算税に変えて重加算税が賦課される等の差異が設けられている。
その逆に、融資などを目的に収入を多く見せかけて粉飾決算等を行うのは脱税とは異なるが、所得税法違反の罪のほかに、詐欺罪や証券取引法違反などの罪に問われる。

法人税法第159条に偽りその他不正の行為により、脱税した場合には、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとも法定化されています。
このことからも、犯罪という意識をしっかりもつようにしてください。

参考 法人税法第159条(連結納税部分を除きます)
■第159条  
偽りその他不正の行為により、第74条第1項第二号(確定申告に係る法人税額)(第145条第1項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第68条(所得税額の控除)(第144条(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第69条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第89条第二号(退職年金等積立金確定申告に係る法人税額)(第145条の5(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第104条第1項第二号(清算確定申告に係る法人税額)に規定する法人税の額(第100条第1項(所得税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同項の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第80条第6項(欠損金の繰戻しによる還付)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人及び法人課税信託の受託者である個人を含む。以下第162条(偽りの記載をした中間申告書を提出する等の罪)までにおいて同じ。)、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  
前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。


○ 租税回避行為

租税回避行為とは、通常用いられる法形式を回避した経済的に合理的理由のない異常な法形式による取引を行うことで、租税負担の軽減
または排除を行うことをいう。これはあくまで合法な行為だが、租税公平主義等の観点から容認できないとして、このような抜け道をふさぐ
ために、実質主義の観点から税法上の個別又は一般の否認規定をもうけて課税の対象とされることがある。

法人税の観点から見れば、合法的に抜け道を探す行為がを見つけられる税理士は、個人的には天才の部類に入ると思います。
合法的節税は、「芸術」かもしれません。脱税が「犯罪」とするのと間逆な考え方です。
法人税を実質的に立法している官僚の頭脳は並みの天才とは違う気がします。
納税者のみならず税理士さらに国税職員をも的確にコントロールし、あるときは課税の公平という名のもとに凶器すら仕込んでいる法人税自体が芸術に近いものです。
簡単に、租税回避の道を探し出せる安易なものとは思えません。
一般的な市販本に数多く出てくる税金を少なくするノウハウ(節税ノウハウ)と租税回避行為はまったくの別物と思ったほうが良いです。

ちなみに、脱税ではなく合法的租税回避行為を考えて下さい。と言われた場合・・・・。
思いつきますか?

税の怖さを知れば知るほど臆病になってくるかもしれません。
税理士でない方のほうが柔軟な発想ができて思いつくかもしれません。

積極的に思索する発想ではないかもしれませんが、合法的新規の節税商品を創れるよう税金を知る必要があるし、努力はしていくべきことかもしれません。

ただし、実質所得者課税や行為計算の否認規定が用意されています。租税回避行為ありきのノウハウは、実態的には使えないノウハウかもしれません。
※国税当局との紛争に発展することも多く、過去の判例でも租税法律主義を主張しても成り立たない判例は当然たくさんあります。

○脱税と租税回避行為の相違
脱税は、課税要件の充足という事実を隠匿する行為であり、不法に税の負担を逃れることである。
一方租税回避は、課税要件の充足それ自体を回避するものであり、形式的にはあくまで合法な行為である。よって両者は、税法の規定に違反しているか否かによって峻別される。もっとも、法形式の回避を装っていても、実際は事実の隠匿であることもあり(隠匿された課税要件該当事実が認定されることを、しばしば、事実認定レベルにおける否認という。)、注意を要する。また、私法上の性質決定の基準がはっきりしないことの影響で、事実の隠匿か法形式の回避かの区別はしばしば困難を伴い、国税当局との紛争に発展することもある。

○節税と租税回避行為の相違
節税とは、税法の規定の想定する範囲内において取引を行うことで、課税額の低減を図る行為である。
一方租税回避とは、想定の範囲を超えた異常な法形式を採る点において、節税と異なる。
ただし、両者には明確な差異はなく、社会通念により区別されるにとどまる。

誰もが納得する租税回避行為を見つけることは、本当に難しいことです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。