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第58回 税理士試験 法人税法 理論 解説9 [PISA型読解力]

9.相手勘定が現預金でない、費用及び収益

D社
DES(デット・エクイティ・スワップ)によりD社が取得したE社株式に関しては、非適格現物出資に該当する場合には、その取得時の株式の時価により評価(法令119条①二十五)、適格現物出資に該当する場合には、適格現物出資の直前の移転資産の帳簿価額等(法令119条①七)と規定されています。
また、法基通2-3-14(債権の現物出資により取得した株式の取得価額)において、子会社等に対する合理的な再建計画等に基づく非適格現物出資の場合には、時価による旨を規定していますが、法令119条①二十五の確認通達と考えられます。
なお、上記のような非適格現物出資の場合には、現物出資直前の帳簿価額と時価との差額は債権譲渡損失として、一旦、法法22条により損金として認識されますが、一般的にDESは再建支援の一環として行われるものであり、債務者側への債権放棄により生じる損失としての性格も有していると考えられます。
従って、法基通9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付等)に規定する「合理的な再建計画」に該当するか否かについて十分に検討する必要があります。

参考規定
●(有価証券の取得価額)
第119条  
内国法人が有価証券の取得をした場合には、その取得価額は、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
七  
適格分社型分割又は適格現物出資により交付を受けた分割承継法人の株式若しくは法第2条第十二号の十一 に規定する分割承継親人の株式又は被現物出資法人の株式 当該適格分社型分割又は適格現物出資の直前の移転資産
(当該適格分社型分割又は適格現物出資により当該分割承継法人又は被現物出資法人に移転した資産をいう。)
の帳簿価額から移転負債
(当該適格分社型分割又は適格現物出資により当該分割承継法人又は被現物出資法人に移転した負債をいう。)
の帳簿価額を減算した金額
(これらの株式の交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
二十五  
前各号に掲げる有価証券以外の有価証券 その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額

(債権の現物出資により取得した株式の取得価額)
2-3-14 
子会社等に対して債権を有する法人が、合理的な再建計画等の定めるところにより、当該債権を現物出資
(法第2条第12号の14《適格現物出資》に規定する適格現物出資を除く。)
することにより株式を取得した場合には、その取得した株式の取得価額は、令第119条第1項第2号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、当該取得の時における給付をした当該債権の価額となることに留意する。
(平15年課法2-7「八」により追加、平19年課法2-3「十」により改正)
(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる。

法人税は、時価ということをしっかり認識してください。

(子会社等を整理する場合の損失負担等)
9-4-1 
法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6により改正)
(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9-4-2において同じ。)。

(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
9-4-2 
法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6により改正)
(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。


ここで、
子会社を救済する道が、開かれたのが、基本通達9-4-1及び9-4-2と寄附金のところで、記載しましたが、
○E社は、D社の子会社でしょうか?
○子会社でない場合、基本通達9-4-1及び9-4-2は使えますか?

国税庁の見解です。
Q1
事業関連性のある「子会社等」の範囲は、どのようなものですか。

A1
「子会社等」とは、資本(親子)関係、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有するもの(法基通9-4-1(注))をいいますので、単に資本(親子)関係がないことのみをもって「子会社等に該当しない」とするものではありません。
例えば、業界の上部団体等が、業界全体の信用維持のために支援を行う場合などは、その上部団体等にとって、個々の業者は子会社等に該当すると考えられます。

Q2
金融機関等にとって融資を行っている個人は「子会社等」に該当するのですか。

A2
再建であるという前提ですが・・・ 
子会社等とは、資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において、事業関連性を有する者が含まれることとされています。
  したがって、貸付先が個人であっても取引関係を有する者に含まれ、金融機関等が債権放棄することにより、例えば、個人の破産を未然に防ぐことにより、破産した場合に回収できる債権額を上回る額を回収することが見込まれる場合など、債権放棄する側において経済合理性を有すると認められるときは、その債権放棄の額は寄附金の額に該当しないと考えられます。
  また、個人が自己破産と同等な状態に陥っており、貸付債権が回収できないことが明らかな場合において、金融機関等がその貸付債権を放棄したときは、その放棄による損失は、貸倒損失として損金の額に算入されると考えられます。

基本通達9-4-1及び9-4-2を使うためには、実際は、もう少し検討しなければ、ならないでしょうね。

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