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第58回 税理士試験 法人税法 理論 解説10 [PISA型読解力]

10.E社の仕訳は、資本等取引になるのかならないのか?

法人税法第22条第2項及び第5項に、

■法人税法22条
2  
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
5  
第2項又は第3項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第115条第1項 (中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)をいう。


E社の
時価説の仕訳は、資本等取引になるのかならないのか考えてみたいと、思います。
下記仕訳は、どうみても、法人税法22条⑤の
法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引に見えますし、
そうなるならば、
法人税法22条②の益金の額にならないことになります。
もっというならば、下記仕訳の債務消滅益に課税されないことになると思います。
借入金  10,000,000円  /  資本金    6,000,000円
                   債務消滅益  4,000,000円

普通に考えるならば、「資本等取引」なんて考えないという見解も正解かもしれません。
(実際には当然、債務消滅益  4,000,000円は、課税所得を構成します。)

資本金等の額そのものを理解する必要があるかもしれませんが・・・・・・。
法人税法第2条の十六に定義されていますが、
政令委任事項なので、政令をきっちり理解しないといけない部分です。

平成18年改正は、会社法制定に伴い、資本金等の額も整備された部分です。
「資本金等の額は法人が株主等から出資を受けた金額」と概念が明確化されました。
このように法律段階で概念の明確化が図られたことから、その細目については政令で規定することとされました。
その際、資本金等の額の増減項目や増減額は従前の取扱いを基本としつつ、会社法の制定に対応した整備やこれを契機とした見直しも行われています。

■法人税法第2条の十六号
十六  資本金等の額 
法人(各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課される連結事業年度の連結法人(以下この条において「連結申告法人」という。)を除く。)が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。

(資本金等の額)
●法人税法施行令
第8条  
法第2条第十六号 (定義)に規定する政令で定める金額は、同号 に規定する法人の資本金の額又は出資金の額と、当該事業年度前の各事業年度(当該法人の当該事業年度前の各事業年度のうちに連結事業年度に該当する事業年度がある場合には、各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課される最終の連結事業年度(以下この項において「最終連結事業年度」という。)後の各事業年度に限る。以下この項において「過去事業年度」という。)の第一号から第十三号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の第十四号から第二十一号までに掲げる金額の合計額を減算した金額(当該法人の当該事業年度前の各事業年度のうちに連結事業年度に該当する事業年度がある場合には、最終連結事業年度終了の時における連結個別資本金等の額(当該終了の時における資本金の額又は出資金の額を除く。)を加算した金額)に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の第一号から第十三号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第十四号から第二十一号までに掲げる金額を減算した金額との合計額とする。
一  
株式(出資を含む。以下第十一号までにおいて同じ。)の発行又は自己の株式の譲渡をした場合(次に掲げる場合を除く。)に払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額からその発行により増加した資本金の額又は出資金の額(法人の設立による株式の発行にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額
イ 新株予約権の行使によりその行使をした者に自己の株式を交付した場合
ロ 取得条項付新株予約権(法第61条の2第14項第五号 (有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する取得条項付新株予約権をいう。ロ及び第三号において同じ。)又は取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債の同項第五号 に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項 に規定する場合に該当する場合に限る。)
ハ 合併、分割、適格現物出資、株式交換又は株式移転により被合併法人の株主等、分割法人、現物出資法人、株式交換完全子法人の株主又は株式移転完全子法人の株主に自己の株式を交付した場合
ニ 適格現物出資に該当しない現物出資(法第62条の8第1項 (非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等に該当するものに限る。)により現物出資法人に自己の株式を交付した場合
ホ 適格分社型分割又は適格現物出資により分割承継法人又は被現物出資法人に自己が有していた自己の株式を移転した場合
ヘ 株式交換(法第61条の2第9項 に規定する株式交換に限る。)又は株式移転(同条第11項 に規定する株式移転に限る。)により自己が有していた自己の株式を株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人に取得された場合
ト 組織変更(当該組織変更に際して当該法人の株主等に自己の株式のみを交付したものに限る。)により株式を発行した場合
チ 法第61条の2第14項第一号 から第三号 までに掲げる株式のこれらの号に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項 に規定する場合に該当する場合に限る。)
リ 株主等に対して新たに金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付をさせないで自己の株式を交付した場合

二~八省略
九  
適格現物出資に該当しない現物出資(法第62条の8第1項 に規定する非適格合併等に該当するものに限る。以下この号において「非適格現物出資」という。)により現物出資法人に交付した当該法人の株式の当該非適格現物出資の時の価額から当該非適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する非適格現物出資にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額
十 以下省略

今回、関係する上記九号を読んでみると・・・・。

借入金の時価を6,000,000円とすると、

仕訳は、
借入金  6,,000,000円  /  資本金    6,000,000円
                   
借入金  6,,000,000円  /  資本金    3,000,000円
                   資本準備金 3,000,000円※

※の方を上記九号定義していると考えるとわかりやすいかもしれません。
 となると、

借入金  4,000,000円  /  債務消滅益  4,000,000円
の債務消滅益部分は、資本金等の額に該当しないことになります。
資本金等の額に該当しなければ、当然資本等取引にはまえいません。
■法人税法22条
5  
第2項又は第3項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第115条第1項 (中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)をいう。

財務省の税制ホームページに税制改正の内容に、 
(参考アドレスhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/syuzei04.htm

なお、法人が現物出資を受けた場合には、給付を受けた資産の価額(すなわち時価)をもって増加させる資本金等の額とすることとされたため、いわゆるDES(デット・エクイティ・スワップ)により自己宛債権の現物出資(適格現物出資を除きます。)を受けた場合についても、債務者である法人の増加する資本金等の額は、その券面額でなく税制上の時価によるということとなります。また、債務者である法人が現物出資を受けた自己宛債権に対応する債務について、その券面額と自己宛債権の時価との差額が債務の消滅益として計上されることとなります。
債務消滅益と相殺することができる期限切れ欠損金については、平成18年改正で、法人に対し債権を有する者からその債権につき債務の免除を受けた場合にその債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合でその消滅した債務に係る利益の額が生ずるときを含むこととされ、債務の免除を受けた金額にその消滅した債務に係る利益の額を含むこととされました(法法59①一、②一)。
これも、債務消滅益は、期限切れ欠損金の対象ということから、課税所得になるということもわかると思います。

財務省 税制ホームページ 税制改正の内容をもう少し記載します。 

会社更生等の法的整理及び一定の私的整理においてDES(デット・エクイティ・スワップ)が行われる場合には、そのDES(デット・エクイティ・スワップ)による債務消滅益の額を会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度の対象とすることとされました。
会社法においては、株式について発行価額という概念がなくなり、株主となる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額をもって増加する資本金の額及び資本準備金の額とすることとされているところです(会社法445)。
また、法人税法においても平成18年改正により新株の発行及び自己の株式の譲渡の際に増加する資本金等の額について、払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額とされたところです。
このため、法人がDES(デット・エクイティ・スワップ)による自己宛債権の現物出資(適格現物出資を除きます。)を受けた場合には、債務者である法人の増加する資本金等の額は、その券面額でなく時価によることとなります。また、債務者である法人が現物出資を受けた自己宛債権に対応する債務について、その券面額と自己宛債権の時価との差額が債務の消滅益として計上されることとなります。
DES(デット・エクイティ・スワップ)が行われるのは一般的に企業を再生する状況においてと考えられますが、そのような状況の下で行われるDES(デット・エクイティ・スワップ)は、債務超過を解消し財務状態を改善するための手段のひとつと考えられ、債務の免除と同様の効果をもたらすものと考えられます。
そこで、会社更生等の法的整理及び一定の私的整理の場合において、DES(デット・エクイティ・スワップ)による債務消滅益が生ずるときは、その債務消滅益を債務免除益と同様に扱い繰越欠損金額の損金算入の対象としたものです。

本質も意識しながら、読み取る必要があります。

会社法的には、検査役の調査を省略し、手続きの簡素化が図られましたということ。

ここをしっかり認識してから・・・。以下を読んでください。

会社法においては、株式について発行価額という概念がなくなり、株主となる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額をもって増加する資本金の額及び資本準備金の額とすることとされているところです(会社法445)。
また、法人税法においても平成18年改正により新株の発行及び自己の株式の譲渡の際に増加する資本金等の額について、払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額とされたところです。

赤字会社なら、まだしも、健全会社では、DES(デット・エクイティ・スワップ)は、使いづらくなった。
→時価測定をしなければならない。なにより債務消滅益が、課税されることが明確になった。

ここをしっかり認識してから・・。以下を読んでください。

法人がDES(デット・エクイティ・スワップ)による自己宛債権の現物出資(適格現物出資を除きます。)を受けた場合には、債務者である法人の増加する資本金等の額は、その券面額でなく時価によることとなります。また、債務者である法人が現物出資を受けた自己宛債権に対応する債務について、その券面額と自己宛債権の時価との差額が債務の消滅益として計上されることとなります。
DES(デット・エクイティ・スワップ)が行われるのは一般的に企業を再生する状況においてと考えられますが、そのような状況の下で行われるDES(デット・エクイティ・スワップ)は、債務超過を解消し財務状態を改善するための手段のひとつと考えられ、債務の免除と同様の効果をもたらすものと考えられます。
そこで、会社更生等の法的整理及び一定の私的整理の場合において、DES(デット・エクイティ・スワップ)による債務消滅益が生ずるときは、その債務消滅益を債務免除益と同様に扱い繰越欠損金額の損金算入の対象としたものです。

独立した公正な立場において、業務を行う税理士は、
ものごとの本質を見極める必要があるということを痛感しています。

参考までに
■税理士法
(税理士の使命)
第1条 
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

■法人税法
(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)
第59条  
内国法人について会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律 (第三号において「会社更生法等」という。)の規定による更生手続開始の決定があつた場合において、その内国法人が次の各号に掲げる場合に該当するときは、その該当することとなつた日の属する事業年度(以下この項において「適用年度」という。)前の各事業年度において生じた欠損金額(連結事業年度において生じた第81条の18第1項(連結法人税の個別帰属額の計算)に規定する個別欠損金額(当該連結事業年度に連結欠損金額が生じた場合には、当該連結欠損金額のうち当該内国法人に帰せられる金額を加算した金額)を含む。)で政令で定めるものに相当する金額のうち当該各号に定める金額の合計額に達するまでの金額は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
一  当該更生手続開始の決定があつた時においてその内国法人に対し政令で定める債権を有する者(当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人を除く。)から当該債権につき債務の免除を受けた場合(当該債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合でその消滅した債務に係る利益の額が生ずるときを含む。) その債務の免除を受けた金額(当該利益の額を含む。)
二  当該更生手続開始の決定があつたことに伴いその内国法人の役員等(役員若しくは株主等である者又はこれらであつた者をいい、当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人を除く。次項第二号において同じ。)から金銭その他の資産の贈与を受けた場合 その贈与を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額
三  第25条第2項(会社更生法等 の規定に従つて行う評価換えに係る部分に限る。以下この号において同じ。)(資産の評価益の益金不算入等)に規定する評価換えをした場合 同項の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される金額(第33条第3項(資産の評価損の損金不算入等)の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額がある場合には、当該益金の額に算入される金額から当該損金の額に算入される金額を控除した金額)
2  
内国法人について民事再生法 の規定による再生手続開始の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が次の各号に掲げる場合に該当するときは、その該当することとなつた日の属する事業年度(第三号に掲げる場合に該当する場合には、その該当することとなつた事業年度。以下この項において「適用年度」という。)前の各事業年度において生じた欠損金額(連結事業年度において生じた第81条の18第1項に規定する個別欠損金額(当該連結事業年度に連結欠損金額が生じた場合には、当該連結欠損金額のうち当該内国法人に帰せられる金額を加算した金額)を含む。)で政令で定めるものに相当する金額のうち当該各号に定める金額の合計額(当該合計額がこの項(第三号に掲げる場合に該当する場合には、第57条第1項(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)及び前条第1項並びにこの項)の規定を適用しないものとして計算した場合における当該適用年度の所得の金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)に達するまでの金額は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
一  これらの事実の生じた時においてその内国法人に対し政令で定める債権を有する者(当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人を除く。)から当該債権につき債務の免除を受けた場合(当該債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合でその消滅した債務に係る利益の額が生ずるときを含む。) その債務の免除を受けた金額(当該利益の額を含む。)
二  これらの事実が生じたことに伴いその内国法人の役員等から金銭その他の資産の贈与を受けた場合 その贈与を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額
三  第25条第3項又は第33条第4項の規定の適用を受ける場合 第25条第3項の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される金額から第33条第4項の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額を減算した金額
3  
前2項の規定は、確定申告書にこれらの規定に規定する欠損金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載があり、かつ、財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

4  税務署長は、前項の記載又は書類の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載又は書類の添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第1項又は第2項の規定を適用することができる。


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